ギークがデザインしないのはなぜか

皆様にあられましては、日々健やかでいらっしゃいますでしょうか、ハヤシです。
さて、いわゆるウェブデザインというものを皆様はご存じでいらっしゃるかと思いますが、ウェブ制作界隈を見渡してみるとこれへ苦手意識を抱いているプログラマは少なくないものと見受けられます。

これはなぜでしょうか、世の中でギークと言われるような方たちにおいては、より顕著です。情報工学に傾倒しきっているせい?僕はそうではないと思います。
なぜならば、視覚的な美しさと数学的な美しさは同じ視点で評価出来るためです。黄金比に代表されるよう、数理の美的感覚はそのまま視覚に反映出来るのです。

なぜなのでしょう。
数学的知識が豊富で知性に富んだギークが、なぜウェブデザイン、つまり視覚的な装飾についてこだわりを見せないのでしょうか。僕が至った一つの結論は”練習不足”です。

では、これにどう取り組めば良いのでしょうか。デザイナー、特にウェブデザイナーならば良く理解していると思いますが、つまりは直感と説得力を鍛える事です。
直感とは、当て推量などとは違い、言語化できない基準を以て評価する事だと僕は考えています。つまり、脳内で自己完結する評価に使用する基準をより確かなものにする事が「直感を鍛える」です。
説得力は、端的に言えばセンスです。他者に自分の評価基準を信頼させるテクニックを総称して説得力やセンスと言います。*1
自分の脳内で直感に基づいて評価したデザインを他者へ「これはこれこれこういう理由で良いものだ」と納得させる説得力、もちろん後付けだってこじつけだっていいんです。それで納得させれば目的は達成出来るのですから。

そう、デザインが苦手な人は、他者を納得させるセンスや言語化できない自己の評価基準をうまく生かせてないのではないでしょうか。
「プログラムは得意だけどデザインがなあ」とお考えの方、もう一度よく考えてみて下さい。そもそも自分のデザインが良いものであるかどうかを直感で判断したことはありますか?他者に「これこれこういう理由で」と自分のデザインの良さを説得したことはありますか?無いならば是非、試してみて下さい。とは言えいきなり試すのも無茶ぶり甚だしいので、次に僕が普段心がけている訓練方法を提示させて頂きます。

訓練方法、などと書くとお中元のような雰囲気に包まれてしまいますが、そんなに壮大なものではありません。基本は反復です。ウェブページを見て、そのページのデザインの優れている点を書き、そのデザインが好きか嫌いかを評価します。これだけです。
そもそも説得力なんて言うものは単に伝える話術の問題です。発泡スチロールで作った岩でも、うまい人が持てば本当の岩のように見えるんです。本当に岩かどうかが人命に関わるとき以外、岩だと相手に伝わればそれでいいんです。
直感にしても、普段から自分の直感に耳を傾けていなければ、いくら自分の思いとは言え届きません。「デザインはデザインセンスのある人に生まれついて身についている能力だから」くらいのことを考えてしまっていたら、是非捨てて下さい。そんな事は無いんです。

プログラミングテクニックも、日々使わなければさび付くように、デザインセンスも日頃から自分に問いかける必要があるんです。そして最後に、自分のデザインが否定される事をおそれない、これが心構えとして一番大事です。否定される前提でガンガン出していきましょう。それでも自分が正しいと直感するデザインは素晴らしいものだと言い続けましょう。段々回りも「あれ、もしかするとこの人のデザインって素晴らしくね?」と自信を失ってきます。

ここまで来たら後はこっちのもの、/dev/null なんて描いてあるシャツは脱ぎ捨て、オリジナルのカレンダーやTシャツなどを販売してサクセスしましょう。

*1:直感にしても説得力にしても僕流の解釈なので腑に落ちない向きもいらっしゃるかと存じますので、その際には是非コメントなりなんなり頂ければ幸いです。